
ここ1〜2年で、急に小学校や中学校の授業で扱われることが増えてきた「スクラッチ」というソフトがあります。
しかし、保護者さんからしたらあまり聞き馴染みがない言葉だし、一体どんなものなのか分からない部分が多いのではないでしょうか?

今回は、このスクラッチについて、スクラッチを使って小学生向けの講義を数百は行ってきた私の経験から解説していきたいと思います!
もしかしたらお子さんの将来の職業にも結び付く可能性があるスクラッチについて、少しでも知ってもらえたら嬉しいです。
この記事でわかること
・世界中で使われている子供向け無料プログラミングソフト「スクラッチ」の特徴
・スクラッチの始め方
・スクラッチを使う上での資料
記事の信憑性
子供向け無料プログラミングソフト「スクラッチ」とは何か?
スクラッチは海外で子供がプログラミングを学ぶことを目的に開発されたソフトウェアを指します。
現在子供向けプログラミングソフト中では、世界の中で最も利用者数が多いものです。
とはいえ、この記事でお話したい内容はスクラッチが開発された理由や背景ではなく、日本に住む子供とスクラッチの関係性です。
「なぜ日本でスクラッチが重要視されているのか」「子供がスクラッチを学ぶとどのようなメリットがあるのか」などですね。
プログラミング教育についてはこちらの記事でお話していますが、どこの自治体もスクラッチは取り入れています。もう少し深堀りしていきましょう。
スクラッチの特徴
スクラッチの特徴を調べると、大体出てくるのがこの2つ。
・無料
・世界シェアNo.1
確かにその通りなのですが、それだけだったら他にも代わりはあるんです。
これらの特徴に加えて、スクラッチならではの特徴として関連商品の多さが挙げられます。
どういうことかというと、スクラッチで作ったプログラムをLEGOやドローンなどに記憶させ、プログラム通りに動かすことができるおもちゃのような製品がたくさん販売されているんです。
プログラミングはどうしてもパソコンの画面の中で行うことが多くなり、自分のプログラムがどう動くかも画面の中で確認することがほとんどです。
しかし、子供にとっては平面よりも立体、画面よりも現実での動きの方が理解しやすいです。
また、自分が作ったプログラム通りに目の前のおもちゃが動いたらやっぱり嬉しいものです。そしてその嬉しさがプログラミングへの興味を強めることに繋がります。
無料かつ知名度が高いプログラミングソフトはスクラッチ以外にもあります。
しかし、スクラッチほど関連商品がたくさん販売されているソフトはありません。
家電量販店のおもちゃコーナーなんかに行くと、最近はスクラッチ対応をウリにした新作おもちゃもたくさん見られるので、ふらっと寄ってみるのもおもしろいかもしれませんね!
なぜスクラッチが日本全国の小中学校で多く使われているのか
スクラッチに関連商品が多いことはお伝えしましたが、公立学校でそこまでたくさんの関連商品を用意することができる学校は少数です。
ほら・・・お金かかりますから・・・(笑)
スクラッチは関連商品以外にも、公立学校にとって、そして子供の教育にとって大切な要素がたくさんあるんです。
それを少しお話させてください。
NKHも参加するほど資料が豊富
正直、子供に急に「プログラミングやってみよう!」なんて言っても不可能なんですよ。
大人だって同じこと言われたら困る人がほとんどだと思いますし、私もヒーヒー涙目になると思います。
国語や算数と違って教科書もないので、子供にとって「自分で調べられるか」という要素は大切になってきます。
調べても分からないと飽きてプログラミング自体が嫌いになってしまうかもしれませんし・・・。
スクラッチはその資料が膨大にあります。YouTubeにもありますし、「スクラッチ 使い方」など子供が簡単に検索できる中に大量に情報があるんですね。
だから、スクラッチで困った時にも自分の力で解決できる環境が整っています。
NHKも「Why!?プログラミング」という番組を作って子供に向けたプログラミング教材を作っていますが、その中で使われているソフトもスクラッチです。
専用のソフトがいらない
「ダウンロード」「インストール」などの言葉が出てくると、始めるまでに何か準備しなきゃいけないのかあ・・・と少し気が引けませんか?
スクラッチはインターネットで「スクラッチ」と検索してホームページにアクセスするだけで使えるので、何か別のソフトをインストールする必要がありません。
※インストールして使用したかったらデスクトップ版もあります。
ちょっと特例として、iPad版などでは「スクラッチJr.」というさらに小さな子供向けのアプリが出ていますが、アプリのインストールはLINEやTwitterなどと同じなのでそこまで負担でもないと思います。
自分の作品を世界に発信できる
子供にとって発表の場ってとても大切です。自分が作ったゲームで遊んでくれたり、自分が作った動画を見てくれたりしたら嬉しいはずです。それも、世界中の子供たちに。
それが簡単にできてしまうのは、世界No.1という知名度を誇るスクラッチの強みでしょう。
スクラッチには、自分で作ったプログラムを誰でも簡単に使ってもらえるよう公開する仕組みがあります。
もちろん、勝手にプログラムをいじられて自分が作ったプログラムが消えてしまうわけではありません。

など夢を抱くお子さんは多いと思いますが、スクラッチを使えば本当にその夢を叶えることができるんです。
人の作品で学ぶことができる
今の話に少し繋がりますが、自分も世界中のユーザーが公開しているプログラムで遊ぶことができます。
マリオやポケモンなどのゲームを完全にコピーしたプログラムもあれば、動画風にしてある見る用のプログラムもあります。イラスト、コマーシャル、様々です。
スクラッチのすごいところは、ただ遊ぶだけでなく、そのプログラムの中身まで見ることができる点です。
だから

とお子さんが思ったとき、ボタン1つでそのプログラムを見ることができ、参考にすることができるのです。
ビジュアルプログラミング
こちらの画像を見ていただきたいんですが、多くの大人が「プログラミング」という言葉を聞いた時にイメージするのは左側の雰囲気ではないでしょうか。
もちろん左側もプログラミングなのですが、これは大人がお仕事でやるような本格的なプログラミングです。
スクラッチはあくまで子供向けに作られているので、こういう難しそうな文字をカタカタ打つことはしません。
右側の画像がスクラッチの画面ですが、ブロックのようなものを繋げていることが分かるかと思います。
ブロックを繋げてプログラムを積み木のように組み立てていくプログラミングのことを「ビジュアルプログラミング」と言います。
こちらの方が目で見てどんな動きをするのかわかるので、子供でも自分の思いを形にしやすいんですね。
子供向け無料プログラミングソフトスクラッチの始め方
では、実際にスクラッチを使ってみましょう!
インターネットに繋がるパソコンがあればそれだけで準備OKです!
① スクラッチ公式HPにアクセスする
まずはとりあえずスクラッチのHPにアクセスしてください。
検索で「スクラッチ」と打ってもらって1番上にあるHPです。
こちらにもリンクを貼っておきます!
②アカウント登録
「え〜急にアカウント登録するの・・・」と思われる方はこの項目は飛ばしてもらっても大丈夫です!スクラッチはアカウントを登録しなくても使えます。
しかし、自分で作ったプログラムを公開するなどの機能が使えなくなるので、私はアカウント登録しておくことをお勧めしています。
もちろん無料なのでご安心を!
「スクラッチに参加する」からアカウント登録することができます。
ユーザー名とパスワードを設定します。
ユーザー名はアルファベットを使う必要があるので、「ayaka」「takumi」など自分の名前を使う場合でもアルファベットにしてあげましょう!
「どこに住んでいますか?」はJapanを選択しましょう。
ちなみに、ここでJapanを選択する際に他の国も一気にリストアップされるのですが、とんでもない数の国が出てきます。
スクラッチがどれだけ世界中で使われているか分かりますね!
このあたりの質問はパパっと答えていきましょう。
メールアドレスは大切なので、もしお子さんが困っているようなら保護者さんが見守ってあげてほしいところです。
保管場所を決めて、どこかにメモしておくのも良い学びになるでしょう。
gmailやYahooメールも使えるので、これを機に自分のアドレスを持ってみるのもウキウキしてやる気アップに繋がるかもしれませんね!
ということでアカウント登録完了です!
メールアドレスさえ準備できていれば5分くらいで終わる作業かと思います。
では、いよいよスクラッチの中身に触れていきますよ!
③「見る」でスクラッチに触れる
アカウント登録が完了すると、こんな感じの画面が出てくると思います。
左上の方に「作る」「見る」「アイデア」とあるのですが、主にこの3ヶ所を覚えておけばスクラッチはバンバン使っていけます。
いきなり作り始めるのはちょっとハードルが高いので、まずは「見る」ボタンを押して世界中のプログラムを見てみましょう!
何か面白そうなものがあったら実際に遊んでみるとイメージが掴みやすいと思います。
「見る」の中には公開されているプログラムがたくさん並んでいます。
この中でおもしろそうなものをとりあえずクリックしてみましょう!
プログラムを押してみると、プログラムの説明が書かれているページに飛びます。
スクラッチでは緑色の旗マークは「開始」の意味を表します。
なので、左側に表れる旗マークを押してやれば、そのままプログラムが動き遊ぶことができます。
そして、これがスクラッチの醍醐味ですが、右上に「中を見る」というボタンがあります。
ここをクリックすると、プログラムがどう作られているのか見ることができます。
最初はブロックが多すぎて驚くかもしれませんが、全て決まったルールにのっとって作られているので、ゆっくり学んでいけば自分でも作れるようになりますよ!
④ 公式HPのチュートリアルを見ながら、実際に作ってみる
「アイデア」というボタンを押すと、初心者向けのチュートリアルを見ることもできます。
動画を交えながらのチュートリアルでとても分かりやすいので、まずはこれを見ながら一緒に作ってみると良いです!
ここまでチュートリアルが充実しているのは教育用ソフトウェアの特徴ですね。
大人向けソフトによくある

という要素がなく、本当にこのチュートリアルを見れば大体の作り方が分かるようになっているので驚きのクオリティです。
⑤ 自分で作りたいプログラムを作ってみる
④までの過程で、スクラッチを使ってプログラムを組み立てる練習はできました。
ここからは自分のアイデアをたくさん形にしていき、できた作品を公開していきましょう!
1から作り始めるのは最初は大変だと思うので、公開されているプログラムの「中を見る」からプログラムを参考にして、少しずつアレンジしていくのも面白いです!
子供向け無料プログラミングソフトスクラッチの資料
スクラッチの長所に情報量の多さを挙げましたが、代表的なものを書いていこうと思います。
また、書籍も大量にあって逆に悩むので、私が実際に小学生向けの講義で使っているものをご紹介します。
スクラッチ公式チュートリアル
なんと言ってもまずはこれ。全スクラッチユーザー必見のチュートリアルです。
これを見ずに他の情報なんていりません。とにかく見てください。
NHK「Why!?プログラミング」
お笑い芸人「厚切りジェイソン」さんが主で引っ張っているこの番組。
実はジェイソンさんはアメリカで活躍されていたプログラマーでもあり、その腕前は多くの超大手企業が欲しがるほどだったそうです。
ジェイソンさんはお笑い芸人だけあって子供のテンションを上げて上手く導いてくれます。
見ているだけでもプログラミングの楽しさが伝わってくる良コンテンツだと思います!
書籍「親子でかんたん スクラッチプログラミングの図鑑 【Scratch 3.0対応版】」
スクラッチの書籍はたくさん出ているのですが、子供向けという視点で書いてあるものは意外と少なく、子供がすんなり読めないものもあります。
よくあるのが専門用語。
「ダウンロード」「サポート」など、パソコンについての用語について説明がほとんどない書籍が多い中、この「親子でかんたん スクラッチプログラミングの図鑑」はルビ付きで丁寧な印象です。
もちろん単語の意味を全て完璧に把握できるわけではありませんが、丁寧な図解とフルカラーで分かりやすい構成なので、1冊あれば自主学習にも良いでしょう。
ちなみにAmazonではベストセラーになっている名著です。
子供向け無料プログラミングソフトスクラッチの評価は?
スクラッチを使っている日本人ユーザーからは一体どのような評価を受けているのでしょうか?
一応これでもスクラッチを使って講義なんかもしているので、子供に協力してもらってスクラッチについてのアンケートに答えてもらいました。
子供から見た生の声、お届けします(笑)
今回はスクラッチを使い始めることが多い学年である小学5年生に協力してもらい、アンケートに答えてもらいました。
※講義後のふりかえりとして活用しているので、子供にとってもしっかり学びになるよう作っています。
まずは「スクラッチは好きですか」という質問に対しての答えです。
「分からない」というのはまだスクラッチをそこまで使っておらず、スクラッチに対して何かイメージを抱くまでに至っていないということでした。
男女比で考えると男子はめちゃくちゃ好きなようです。
続いて、「スクラッチを使うとき友達と相談しながら使うことができていますか」という質問です。
「いいえ」と答えた子供が減ったわけですが、プログラミングに対して苦手意識をもっている子供でも、友達に教えてもらいながら進めることができた経験があるようです。
漢字や計算が苦手。逆上がりも苦手。でもプログラミングは好き。
そんな一途な子がヒーローになれるのもプログラミングの素晴らしいところです。
最後に「スクラッチで困ったことがあったとき、自分で調べて解決できていますか」という質問です。
こちらは前2つの質問よりも「いいえ」が多い結果になりました。
いくらスクラッチについて流れている情報量が多いとはいえ、自分で問題解決するのはそもそもハードルが高いですからね。
むしろ76.3%も出来ていると答えたことが多いと考えるべきでしょう。
続いて「スクラッチでどんなプログラミングをしてみたいですか?」という質問をしてみました。
- オリジナルゲーム
- 曲を作ってみたい
- イラストを描いてみたい
- 映画を作ってみたい
といった内容が多かったです。
映画は少しびっくりしましたが、自分たちのオリジナルのプログラムを相談して作ることを考えた結果、映画という答えにたどり着いたようです。
子供にこれだけのものを

と思わせてくれるスクラッチの評価が低いわけないですよね。
やはり子供向け無料プログラミングソフトとしてスクラッチの評価は疑う余地がありません。
スクラッチは無料で子供向けプログラミングソフトとして完璧。しかし、その先の世界もある
以上、スクラッチの特徴についてお話してみました。
ここまでお読みいただいた方は、スクラッチが無料とは考えられないくらい完成された子供向けプログラミングソフトであることをお伝えできたかなと思います。
しかし、スクラッチは完璧な「子供向けプログラミングソフト」であり、完璧な「プログラミングソフト」ではありません。
スクラッチを通じてプログラミングの楽しさや、自分の思いを形にすることの気持ちよさを知ったお子さんが、もし

・インターネットのことをもっとよく知りたい
・もっと専門的にプログラミングを勉強したい
と更に上のレベルを求めた場合、スクラッチからは卒業するタイミングだと私は考えています。
スクラッチを通じてプログラミングに出会い、楽しさを知った上で本格的なプログラミングの世界に入っていくのが良いと思うんです。
お子さんがプログラミングが好きで、保護者さんがプログラミングやIT関係の仕事に就けるようサポートしたいと考えていても、子供向けに作られたスクラッチでは足りないんですね。
どこかでPHPやJavaなどのプログラミング言語を学び、より極めていくタイミングが大切になります。
しかし、スクラッチでプログラミングの楽しさを知ったお子さんであっても、本格的なプログラミング言語はそうそうマスターできるものではありません。
挫折しやすくなりますし、独学では相当強いメンタルと長い時間が必要になります。
プログラミングスクールでは、大人が仕事で使うようなプログラミングを子供に分かるように丁寧に教えてくれますし、最近はロボットコンテストなど多くの子供がプログラミングを専門的に勉強して自分の将来に役立てています。
悩みながらも楽しく、将来のために勉強できるのはプログラミングならではだとも思います。
スクラッチはあくまでプログラミングの入り口であり、お子さんの将来とプログラミングが関わるようならば、一同スクールを考えてみることをおすすめします。
また、近年はプログラミング教育が広がってきており、子供向けプログラミングスクールが増えてきたこともあり、選択肢が多く迷うかと思います。
私の視点と調べた結果なども踏まえて、おすすめできるプログラミングスクールをまとめてみたので参考にしていただけたらと思います。
では、本記事を読んでいただきありがとうございました。